新訳ミツバ篇
□第7章
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ヒュンッ!
ヒュンッ!
カキーン!!
となりの部屋にいる隊士が、竹刀をつかって稽古を始めた音で、昼寝をしていた目が覚めた。
姉上が倒れた日の、次の日の夕方、……といっても、まだ3時だろうか。
今日も真選組の仕事は入っていたが、いつも通り朝の訓練をサボり、街の巡回もサボった。
昼寝にしては十分に眠った目をこすり、辺りを見渡す。
ふすまの間から、昼下がりの太陽の光がたくさん差し込んできていた。
寝間着のまま、外に出てみる。
縁側の廊下に座った。すると太陽が空高くに昇っていて、日が気持ちいい具合に浴びれた。
こんな日こそ昼寝日和と言える。
本来ならお気に入りのアイマスクをつけて、今すぐにでもまた昼寝したい状況だ。
だが今日は、そうはいかない。
昨晩のことで、いろいろ気になったことがあったからだ。
昨日、なんであの屋敷に土方までいたのか。
姉上が倒れたと聞いて、急いで来てみれば、あの始末だ。
なんでも土方のツラを見て、姉上は倒れた、という。
頭の中が、憎き土方に埋もれて、昼寝どころじゃない。
現に今も、この暖かい快晴の日の下で、こうやって野郎のことだけが頭で渦を巻く。