新訳ミツバ篇
□第15章
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総悟『俺達を信じろってかィ。
冗談じゃねェ。
俺は、奴に貸しつくるのだきゃあ、御免こうむるぜ。』
そう言って、俺の動きを止めた近藤さんの腕を握った。
力が入って、ギシシという音が聞こえるくらいに。
総悟『近藤さん…、アンタは俺を誤解してる。
俺はアンタが思う程キレイじゃねェ。
「人を信じる」とか、そーいう奴じゃねーんだ。
てめーの事しか考えちゃいねェ。』
そこまで言って、腕に入れていた力を弱めた。
黙ったまま俺の顔をじっと見て、話を聞いてくれている近藤さん。
その顔にはなんの表情も浮かんでいなかった。
総悟『いつもアンタ達と一緒にいても、溝を感じてた。
俺はアンタらとは違う、って。
だから姉上もアンタもアイツの所へ…』
そう言った瞬間だった。
ドカァァァッ
頬に強い衝撃を感じた。
それと同時に吹っ飛んでいく俺のからだ。
その直後、うしろにいた看護師のワゴンに背中が勢いよく衝突し、俺はしりもちをつくように床に倒れた。