新訳ミツバ篇
□第16章
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確信付けるように言った言葉に妙に納得できて、俺は一息つくと、ゆっくりと立ち上がった。
今も旦那は寝ているであろう。
幸せそうに寝息だけは未だに聞こえてくる。
総悟『旦那、長ェ話きいてくれてありがとうございやした。
こいつは姉上には内緒で。
って、きいてるわきゃねーか。』
確認のつもりで何気なく言っておく。
やはり返事はないのだが、それでも俺は、これを最後の言葉にすると決めて、口を開いた。
総悟『野郎には大事なもん色々もってかれたが、行かなきゃならねェ。
近藤さんには死ぬと言われたんでねィ。
最後かもしれねェ…。
地蔵にでも全部しゃべっときたかったのさ。』
そう言って足を踏み出したときだった。
『その大事なもんに、アイツも入っちまってんだろ。』
後ろから急に聞こえた声。
ふり返ると、そこにはソファに寝転がったままで、目を開けている旦那がいた。
総悟『旦那!』
思わずそんな元気な声が出る。
旦那はズボンのベルトのあたりをボリボリとかいた。
そして大きな伸びをして、俺を見た。
銀時『フワァ〜、よく寝たぜ。
さて眠気覚ましに一丁いくか。
てめーのネーちゃんにも、友達だってウソぶっこいちゃったし。』