新訳ミツバ篇
□第17章
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酔っぱらいが街をふらつく、かぶき町の夜。
あたりの高層ビルが街を照らしている。
いつもならひっそりしているその道を、今日は、異色の光が明るくした。
近藤『どけェェェェェェ!!
真選組のお通りだァァァ!!』
街を照らした光は、パトカーだった。
そんな中で、近藤の怒声があたりに響き渡る。
4列ほどある車道も、すべてパトカーだった。
近藤が乗っているのは、中央より少し前にある。
山崎が運転し、近藤は助手席に座っていた。
車の中で近藤は、口に出せぬ思いを、心の中で叫んでいた。
トシ、あのバカヤローめが…。
総悟を隊から追い出そうなんて奴、オレたちの中にいるかよ。
何でも1人で背負い込みやがって。
憎まれ役まで1人でうけ負うつもりか。
俺ァしってんだぞ、トシ。
お前がミツバ殿を………、
*
土方はかなりピンチな状況にいた。
真っ黒な隊服から、覗くように血の色が見える。
鉄砲で撃たれた足を引きずりながら、荒い息で、ゆっくりと歩いていく。
コンテナの裏を隠れるように歩いていたものの、その先に出たのは、……完璧に敵に囲まれた場所だった。