白蝶編
□第1訓
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幸恵『だから、以後、気を付けますって言ってるじゃないですか!
マジでこんなところで怒られてる場合じゃないんですよ!』
一切、不良には怖がっていない口調で言う。
この街が怖すぎて、実際のところ、本当にこの不良は全く怖くないのだ。
不良『フザけやがって……
かぶき町で一番、強ェこの俺にケンカふっかけたのは、てめェだからな!!』
不良はそう言うと、幸恵の腕をガシッと掴んだ。
幸恵『ひゃっ、』
そんな高い声が出る。
不良『女だからって手ェ出さないと思うなよ!
俺を怒らせたことを、後悔させてやらァ!』
不良はそう言うと、拳を強く握って、幸恵の頭上に振り上げた。
さすがにこれはマズい、とそう思ったそのときだった。
『オイオイ、誰が「かぶき町で一番、強ェ男」なんだ?
ここにはただの不良デブと、可愛い姉ちゃんしかいねェぞ?』
そんな声が聞こえた。
ギュッと閉じていた目をゆっくりと開ける。
するとそこには、不良の腕を握っている、もう1本の腕。
その腕をたどって顔を見てみる。
一番最初に、銀髪で天然パーマの個性的な髪が目に入った。