新訳ミツバ篇
□第2章
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総悟は目を閉じ、不安そうな顔をする。
総悟『でも僕、心配です。
江戸の空気は武州と違って汚いですから、お身体にさわるんじゃ。
見てください、あの排気ガス。』
総悟はそう言うと窓の外を指差した。
ミツバはその方向を見る。
ミツバ『何?どれ、そーちゃん。』
ミツバの視線がそれた内に、どこからかバズーカを取り出し、山崎たちが盗み見していたところに撃った。
ドカァァァン!!
ぎゃああぁァァァ!!
白煙をもうもうと上げる。
ミツバは手で口を抑えた。
ミツバ『!まァ…。
何かしら、くさい。』
総悟はしらっと知らんぷりをして言う。
総悟『ひどい空気でしょ。
姉上の肺に障らなければいいんですが。』
ミツバは手を下ろし、微笑みを浮かべた。
ミツバ『病気なら大丈夫。
そーちゃんの毎月の仕送りのおかげで、治療も万全だもの。』