新訳ミツバ篇
□第5章
2ページ/4ページ
一方、総悟はクルッと体の向きを変えた。
総悟『それじゃ姉上、僕はここで。』
そう言って歩き出したときだった。
ミツバが慌ててひき止める。
ミツバ『あっ、そーちゃん!』
総悟は体はそのまま、顔だけミツバに向けて立ち止まった。
ミツバ『…あの…、…あの人は、』
そう言っている最中、総悟は急に顔を曇らせた。
そして少し怒ったような、引っ掛かったような表情をして、言った。
総悟『野郎とは、会わせねーぜ。』
その言葉には敬語を使わず、我のままな口調で喋る。
総悟『今朝方もなんにも言わず、仕事にでていきやがった。
薄情な野郎でィ。』
それだけ言い残すと、総悟は隊服のポケットに手を突っ込んで、スタスタ歩いていった。
その後ろ姿をじっと見て、やがてミツバは溜め息を吐く。
ミツバ『……仕事か。
相変わらずみたいね。』
その顔からは、どことなく残念そうな気持ちが伝わってくる。
一方、銀時はやれやれ、といったような表情をしていた。
銀時『オイオイ…。
勝手に巻き込んどいて、勝手に帰っちまいやがった。』