新訳ミツバ篇
□第7章
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ミツバ『そーちゃん。』
昼下がりのその時間に、昔のミツバが、総悟がいる部屋に顔を覗かせた。
その様子、顔はたいして変わっていないが、長髪を後ろでポニーテールにして結んでいる。
そこには、畳に直で横になっている総悟の姿。
その姿、今と比べて髪は変わっていないが、まだ顔つきは幼く、体も小さい。
ミツバ『そーちゃん、けいこの時間よ。
どうしたの?
いつもは勝手に早起きして道場に行くのに。
道場で嫌な事でもあったの?』
不安そうにそう聞くミツバ。
総悟は少し間を開けてから答えた。
総悟『……ムカつく奴がいるんです。』
ミツバ『この間から道場に来てる、っていう人?』
ミツバが優しい声で聞くと、総悟はゆっくりコクンとうなずく。
総悟『僕より後輩のくせに、タメ口だしナマイキだし…、アイツが来てから近藤さんも、あんまりかまってくれないし。
もうヤダ。
僕、道場、行きたくないス。』
口を尖らせてそう言う総悟に、ミツバは困ったような表情を浮かべる。
すこしかがんで、総悟の顔をのぞきこんだ。
ミツバ『そーちゃ…』
そう言いかけたときだった。