新訳ミツバ篇

□第7章
3ページ/4ページ


ミツバ『そーちゃん。』

昼下がりのその時間に、昔のミツバが、総悟がいる部屋に顔を覗かせた。

その様子、顔はたいして変わっていないが、長髪を後ろでポニーテールにして結んでいる。

そこには、畳に直で横になっている総悟の姿。

その姿、今と比べて髪は変わっていないが、まだ顔つきは幼く、体も小さい。



ミツバ『そーちゃん、けいこの時間よ。

どうしたの?

いつもは勝手に早起きして道場に行くのに。

道場で嫌な事でもあったの?』

不安そうにそう聞くミツバ。



総悟は少し間を開けてから答えた。

総悟『……ムカつく奴がいるんです。』

ミツバ『この間から道場に来てる、っていう人?』



ミツバが優しい声で聞くと、総悟はゆっくりコクンとうなずく。

総悟『僕より後輩のくせに、タメ口だしナマイキだし…、アイツが来てから近藤さんも、あんまりかまってくれないし。

もうヤダ。

僕、道場、行きたくないス。』



口を尖らせてそう言う総悟に、ミツバは困ったような表情を浮かべる。

すこしかがんで、総悟の顔をのぞきこんだ。

ミツバ『そーちゃ…』

そう言いかけたときだった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ