新訳ミツバ篇
□第14章
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一切、怖がる様子を見せない蔵場に違和感を感じたが、まずはそれに関してなにも触れず、話を続ける。
土方『犯罪に手ェ染めながら真選組の縁者に手ェ出すたァ、てめーも太ェ野郎じゃねーか。』
そう言った瞬間だった。
後ろに殺気を感じて、サッとふり返る。
すると、すぐそばの高台に立っている男が、構えていた銃の先を俺に向けて、発砲しようとしているのが目に入った。
土方『!!』
*
山崎が来る前から、姉上がいる病室の前では、静かな、それこそ病院らしい空気が流れでいたワケでは無かった。
少し怒鳴ったし、走りもした。
だがそれよりも確実に、今の方が騒がしい、と言い切れるだろう。
それは、山崎から事情を聞いた近藤さんの大声で始まることになる。
近藤『トシが1人で!!』
驚いたのもつかの間、今度は怒ったような表情をして、近藤さんは山崎の隊服のえりを掴んだ。
近藤『山崎ィ!!
てめェなんでその件、今まで黙っていた!!』
俺は黙って2人の会話を聞いている。
山崎『すいません!!
副長にかたく口を止められていたんです!!』
手を振ってそういう山崎。