新入り編2

□第3話
3ページ/4ページ


作戦は決まったところで、ヅラ子はさり気なく新八のところへ行った。

ヅラ子『新ちゃんお疲れ様〜〜。

グラタンの進み具合はどう?』

ひょいっと顔を出すと、新八は笑顔で答えた。

新八『今、オーブン付けてるトコです。

これでチーズのトロトロ加減が変わってくるから、見てるんですよ。』



ヅラ子『ふぅん。

グラタンって何気に難しいんだね。』

このセリフの裏に隠された真意。

このカニの裏に隠された3人だけの作戦。

まんまと騙されている新八に、ヅラ子は笑ってしまいそうになるのを、頑張ってこらえた。

その感情が顔に出ないように、必死に笑顔を作る。



チン!



ふいにそんな音がした。

新八がオーブンのふたを開けた音だった。

新八『いい焼き加減だ!

こんがりキツネ色……これなら銀さんも喜んでくれるかな?!』

新八はご機嫌そうにオーブンからグラタンの入った皿を取り出した。



そして手早く台拭きを濡らして絞り、ヅラ子に手渡す。

新八『申し訳ないんですけど、コレでテーブルを拭いてきてもらえませんか?』

もう渡されてんだから拒否権ないだろ!

という言葉を押し込み、ヅラ子は笑顔でひきうけた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ