新入り編2
□第3話
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作戦は決まったところで、ヅラ子はさり気なく新八のところへ行った。
ヅラ子『新ちゃんお疲れ様〜〜。
グラタンの進み具合はどう?』
ひょいっと顔を出すと、新八は笑顔で答えた。
新八『今、オーブン付けてるトコです。
これでチーズのトロトロ加減が変わってくるから、見てるんですよ。』
ヅラ子『ふぅん。
グラタンって何気に難しいんだね。』
このセリフの裏に隠された真意。
このカニの裏に隠された3人だけの作戦。
まんまと騙されている新八に、ヅラ子は笑ってしまいそうになるのを、頑張ってこらえた。
その感情が顔に出ないように、必死に笑顔を作る。
チン!
ふいにそんな音がした。
新八がオーブンのふたを開けた音だった。
新八『いい焼き加減だ!
こんがりキツネ色……これなら銀さんも喜んでくれるかな?!』
新八はご機嫌そうにオーブンからグラタンの入った皿を取り出した。
そして手早く台拭きを濡らして絞り、ヅラ子に手渡す。
新八『申し訳ないんですけど、コレでテーブルを拭いてきてもらえませんか?』
もう渡されてんだから拒否権ないだろ!
という言葉を押し込み、ヅラ子は笑顔でひきうけた。