攘夷志士編
□プロローグ
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朝、報せ鳥が鳴いた声で目を覚ました。
今日は曇天で日差しが部屋に入ってこない。
その天気はまるで不吉なことが起きる、と俺に伝えようとしているようだ。
本当にいつもと変わらない朝だ。
神楽のいびきがうるさいし、隣の家の目覚まし時計が鳴り響いているし。
ただいつもと違うのは、その日、万事屋に新八が来なかったことだけだった。
妙の家に電話をしても
「とっくに家を出ている時間なので。
ふざけないでください。」
と言って切られた。
さらに親衛隊の幹部、軍曹に聞いても
「隊長は今日はいない」
と言われた。
内心とても焦っていたが、どうにか冷静なフリをして、その場をやり過ごした。
真面目な新八は、いつもなら休む時、きちんと連絡を入れていたはずだ。
……どうした、新八?!
一方、目を覚まして押し入れから出て来た神楽は、新八がいないことに違和感を持ってはいなさそうだった。
けど神楽のことだ。
きっと寝ぼけているのだろう。
少し経てば、ボケだけでツッコミがいないことに気付くハズだ。