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銀魂高校からの帰り道。

先生達の車の日陰で涼む猫を横目に、幼馴染の総悟と2人きりで自転車の前にいる。

総悟『ほら荷物。』

そう言って出された手に、私はカバンを渡した。

総悟は自転車のカゴに私と総悟のカバンを入れる。



先に総悟が自転車に座った。

それに続いて荷台に私が座る。

最近はいつもこうだ。

自転車がパンクしたので、直すまでの間はいつも駅まで自転車2人乗りをしている。

総悟『ちゃんとつかまってろよ。』

『あいあいさー。』

私が総悟の肩に手を置いたのと同時に、総悟はペダルをこぎ始めた。



『なんかさ、いつもありがとね。』

ふとそう言ってみる。

総悟『なんでィ、急に。

お前が礼言うなんて。』

総悟はもの珍しそうな声を出した。

『うう……ん、別に。

なんか最近言ってないなぁって思って。』

そう言うと、総悟はふーん、とあまり興味なさそうに返事をした。



総悟は急に片手、ハンドルから手を離した。

なにをするのかと思えば、頭をかいている。

小さいころから、恥ずかしいときにやる仕草だ。

総悟?と声をかけようとしたら、先に総悟が口を開いた。

総悟『……俺もお前に言ってねェことがあるんでィ。』



前を向いたまま総悟は言った。

表情はあいにく見えない。

なに?と問いかけると、総悟は少し黙って、そして決心したのか、口を開いた。

総悟『その…さ、いつか言おうと思ってたんだけど、俺さ。

お前のこと………好き……なんでさァ。』



『え……?』

言葉を失った。

それしか出てこなかった。

総悟の言葉を頭でなんども繰り返し、意味を確信し直す。

『それは……友達って意』

総悟『付き合って欲しいんでィ!!

友達じゃなくて、幼馴染でもなくて……。

1人の男として俺を見てくだせェ。』



総悟が私の言葉をさえぎってそう言う。

気付くと、いつのまにか自転車が止まっていた。

風が髪をゆっくりとたなびかせる。

総悟の肩から手を離すと、総悟はくるっとこっちを見てきた。



『私も、総悟のこと、……好きだよ。』

風に背中を押された気がして、勇気が出た。

顔がどんどん熱くなる。

その唇に柔らかいもう1つの唇が当たった。



総悟『初!』

そう無邪気に笑ってみせると、総悟は再び前を向き、足をペダルにかけた。

そして自転車をとばす。

私はあわててまた総悟の体にしがみついた。



総悟『明日からは手を繋いで歩いて帰りやしょう!』

『うん!』

総悟の元気な声に、私も明るい声で返した。

明日がくるのが楽しみだ。


自転車直さなくていっか!



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