本郷 奏多
□幸せは突然に。
1ページ/3ページ
「みゆ!!昨日見た!?」
「奏多出てたやつでしょ?見たよ。」
朝の電車内、
同僚が興奮した様子で私に話し掛けてきた。
昨日、奏多がバラエティー番組に出ていたのだ。
メールでそのことは本人から聞いていたし
毎日見てる奏多のHPも見ていた。
たまにしか会えない奏多。
淋しいのはよくあることだけど
テレビで彼が元気そうにしてるのを見るだけで
とても安心するから
遠距離恋愛でも
ちゃんと続いてる。
お互いを信用しあえてる証拠だ。
「ねぇ、最後に会ったのいつなの?」
「ゴールデンウイークだから……2ヶ月前?」
「えぇっ!?よく耐えられるね……」
彼女が少し大きな声を上げたので
私は慌てて彼女の口を塞いだ。
「…ごめーん……
でも、それでみゆは平気なの?」
「寂しくないわけじゃないけど、メールとか電話はしてるから大丈夫かな。」
そう言って笑うと
彼女は感嘆の溜息を漏らした。
「奏多君もみゆもオットナー……」
おかしくて噴き出すと
間もなく会社の最寄の駅に到着した。