本郷 奏多

□Sweet Halloween
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「奏多っ!!」


「何?」






振り向きざま、

みゆは僕に両手を差し出してきて

満面の笑みでこう言った。










「Trick or Treat!!」










呆気にとられた僕はみゆをしばらく凝視した。



みゆはずっと手を開いて待っている。





その間10秒。















「………奏多?」


「何?」


「お菓子。」


「………。」


「だから、おー菓ー子っ。

今日何の日か知ってるでしょ?」



「ハロウィン、でしょ。」



「そう、ハロウィン。」



「だから?」



「お菓子ちょうだい。」

「やだ。」







即答して、
僕はまたレポートに向き直った。


一応大学生なんだ、僕だって忙しい。



そんな僕に気を悪くしたのか、みゆは僕の背中を睨みつけてきた。


視線が刺さるようで痛い。







「……バカナタ。」



「みゆにはいつもお菓子あげてるでしょ。」



「今日はハロウィンだもん。」



「みゆの場合、毎日ハロウィンでしょ。」



「な………。」






口ごもるみゆ。



僕は聞こえないよう、喉元まで込み上げる笑いを必死に堪えた。







「……みゆ。」


「何。」





「Trick or Treat.」



「私お菓子ないよ。貰うつもりしかなかったから。」



「じゃあ、






………悪戯、しなきゃね?」











僕はみゆを引き寄せて、


強引に唇を奪った。










「……ご馳走様。」



「…………ば、バカナタっ!!!!!!」













Sweet Halloween








 

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