本郷 奏多

□HAPPY BIRTHDAY NIGHT
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「みゆ、そこのチューハイちょうだい。」


「はいよー。………って、奏多飲み過ぎじゃない…?」


「まだ酔ってないから大丈夫。」


「そう?……あ、ケーキ切ろっか。」


「やった!!」






作ったチョコレートケーキを1ピース切り、お皿に載せて奏多の前に運ぶ。



奏多は子供みたいに笑いながら、
ケーキを頬張っていた。






「みゆ、ありがと。ケーキまで作ってくれて。」


「奏多の誕生日だもん、張り切っちゃったよ。」


「俺、みゆが彼女で幸せだわ。」


「……奏多、酔ってる?」


「いや、酔ってないけど。」





いつもなら絶対恥ずかしがってあんなこと言わないのに。


言われたこっちが恥ずかしくて、頬に熱がこもる。








「みゆ、ビール飲みたい。」


「……やっぱり奏多、酔ってる。絶対酔ってる。」


「酔ってたらビール要求しないって。」


「いや、絶対酔ってる。だから駄目。二日酔いで具合悪くなったら困るじゃん。」


「大丈夫だって。俺お酒弱くないし。」






そう言って冷えた缶ビールを開ける奏多を横目に
私はジュースを飲む。


奏多は唇の端についたチョコクリームを舌で舐めとって
ふと目が合った私に悪戯に笑いかけた。





「みゆ。」


「なあに。」


「好き。」


「………ッ。」







不意打ちだった。



奏多は何事もなかったかのように、ケーキの苺を摘んでぱくりと食べた。



………なんか、ずるい。






「奏多、やっぱ飲み過ぎてるよ。」


「つか、飲んでないと、無理。」


「………え?」


「だって、今は飲んでるからハイだけどさ


飲み終わったら多分、俺寝るじゃん。





寝たら………













……みゆ、帰るし。




誕生日も、終わっちゃうから、やだ。」













奏多はおもむろに立ち上がると


今までよりずっと私に近い場所に移動してきた。。





甘えるみたいに

私の肩に寄り掛かってきた。










「今日は………










みゆのこと、


帰したく、ない。」






奏多は私を正面から抱きしめた。




淡いお酒の匂いと

熱を帯びた身体。















酔わされてるのは





私のほうかも。
















HAPPY BIRTHDAY NIGHT








(「誕生日おめでとう、奏多。」)

(「ありがと、みゆ。」)










END.

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