生徒K.H

□愛してますか、先生
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「……みゆ……みゆ、起きて、みゆ。」


「………かな、た……?」





朝日がカーテンの隙間から差し込み、照らされて映る奏多の姿。


ベッドの端に腰掛けている奏多は優しく笑って「おはよう」と言った。





「何で奏多がウチに…?」


「忘れたの?先週、合鍵くれたじゃん。」


「あぁ……そうだった……。」





奏多はやれやれといった感じで私を見下ろしていたけれど

すぐに立ち上がって私の頭をくしゃっと撫でた。






「キッチン、勝手に使っちゃった。
トーストでよかった?」


「……作ってくれたの…?」




奏多は得意げに頷いてから
ベッド脇にある時計を指差した。


ゆっくり頭を動かして見てみると





「……6時、半……」


「7時過ぎには家出るでしょ。ギリギリまで寝かせてあげようと思って。

…ギリギリすぎた、かな。」


「ううん、嬉しい、ありがとう!!」





喜びのあまり、私は奏多に飛びついた。



奏多はちょっと頬を赤く染めていた。



それを確認してから
私はすぐベッドから離れ、
ダイニングテーブルに用意された、まだ温かなトーストとベーコンエッグの前に座った。





「いただきますっ。」

「クスッ、召し上がれ。」







マグカップに注がれたココアの

仄かな甘みが心地好い。











「奏多、ありがとう。」


「帰りは迎えに行くから。電話してね。」


「うん、分かった。じゃあ行ってきます。」






玄関先まで奏多は見送ってくれた。


いつもの靴を履き、
最後に奏多に振り向く。















その瞬間。
















唇に
柔らかな、でも温かい感触が伝わる。















「みゆ、愛してる。」
















愛してますか、先生








(「私も愛してるよ、奏多。」)

(「…僕は幸せ者だね。」)

(「うん、…私も。」)














End.

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