ベストコンビ

□教師と生徒
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「本郷せんせーっ。」



ガラッと豪快に音を立ててドアが開いたかと思えば、すぐさま耳に届くよく通る高い声。


声の主は見ずとも分かる。






「……準備室では静かにしろ、松坂。」


「いいじゃないですかー二人きりだしー。」


「俺がびっくりするんだって、お前の声大きいから。」


「えー。」




とか言いつつ松坂は帰らない。


突き放しても突き放しても、松坂は絶対に俺にくっついてくる。




「先生、今ナニ中?」

「明日のテストの準備中。」

「…テスト?」





松坂はきょとんとした顔で首を傾げる。

目が点になる、って表現が、今、世界一お似合いな顔だ。




俺は思わず噴き出した。





「テスト忘れてた……!!」

「気付くの遅ッ!!っははは……!!!」

「わぁーっ、先生範囲どこー!?!?」





慌てて教科書を取り出す松坂はあたふたしていて

頁をめくるその手から
俺は教科書を奪った。





「仕方ないから…松坂、このあと何かある?委員会とか。」


「いや、特には。ってかテスト勉強させてくださいマジで。」


「いいよ。俺がスパルタ特訓してやるから。」





ニヤリと笑いながら言うと

松坂は急に青ざめて俺に背を向けた。




「あ、私急用が……」


「嘘だってバレバレだぞ。」


「いやぁ、それは……」


「だって、ホラ。」






松坂の肩を掴んで
俺のほうへ振り向かせる。



ぐっと顔を近付けると

いつもへらへらしてる松坂の顔が赤く熱を帯びた。




「……ね、顔に嘘だって書いてある。」

「あ……や……えっ、と…………」







動揺してる松坂が

いつも以上に可愛いから




……このあと、どうやっていじめてやろっかな。











先生と生徒








(「じゃ、一問間違えるごとに俺の言う事一つ聞くこと。」)

(「ってことは、一問正解ごとに…」)

(「正解が当たり前なんだから。何もナシ。クスッ」)

(「理不尽ーーッ!!!!」)











End.

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