ベストコンビ
□変人と常識人
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「かーなーたっ」
「うわっ!?」
組み立てていたプラモデルが危うく崩れそうになる。
みゆは僕の背中に抱き着くなり、ほお擦りしながら首に腕を回した。
「かーまーって。」
「忙しいから、後でね。」
「やだ。今。」
みゆは拗ねて、睨むような目つきで僕を見る。
しばらく知らんぷりしてプラモデルを弄っていると
いきなり、耳たぶをあま噛みしてきた。
「……くすぐったいんだけど。」
「じゃあ構って。」
「もうちょっと待って。」
「………。」
今度は
抱きしめる力を強くしてきた。
首筋を掠めるみゆの髪が、やっぱりくすぐったい。
「かーなーた」
「なぁに。」
「遊ぼ。」
「やだ。まだちょっと。」
「えー。」
文句言いながらもプラモデルを壊そうとしない辺り、邪魔するつもりはないんだろう。
それに甘えて、もう少し待ってもらうことにした。
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「………よし、できた。」
「おぉー上手ー。」
我ながらなかなかの出来。
優越感に浸りながら、
完成したそれを机に飾った。
「喉渇いてない?お腹は?何か持って来るよ。」
するりと拘束が解かれ
温かなみゆの腕が離れる。
僕から離れるみゆのそれを掴むと、
みゆは驚いて「何?」と尋ねた。
「じゃ、遊ぼっか。……みゆでね。」
そのままベッドに押し倒して
組み敷いたみゆを見下ろして
僕は堪えられずに笑った。
「……あたしで、遊ぶ?」
「そ。」
「……この状態で?」
「うん。」
「………?」
多分この先を、彼女は知らない。
普通ならここでいい雰囲気になるんだろうけど
みゆは「普通」じゃないから。
「………大丈夫、優しくしてあげるから。」
ゆっくりキスを落としてから
彼女が頷くのを僕は見逃さなかった。
変人と常識人
(「なんだ、意外と普通に感じてくれるじゃん。」)
(「か、奏多が気持ち良くするから…!!」)
(「クスッ…もう1ラウンド、しちゃう?」)
End.