生徒K.H

□放課後ですよ、先生
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(((キーンコーンカーンコーン…)))





「起立。礼。ありがとうございました。」










6時間目の授業が終わり、


生徒達がぞろぞろ教室を出ていく。







部活に行く子や


家路につく子。









その中で




一向に帰ろうとしない生徒がいた。

















「用がないなら早く帰りなさい。」





「あ、みゆ先生。」







他の誰でもない、





本郷奏多だ。






成績その他何においても優秀なのだが


私に対する態度だけはどうも特異というか。



馴れ馴れしいというわけではないが
妙に距離を近付けようとしてくる。










「今、下の名前で呼んだでしょ。」



「他の生徒がいないからいいじゃないですか。」



「そういう問題じゃないでしょ。」



「女子にはみゆ先生って呼ばれたら嬉しそうにするのに


男子だと嫌なんですか?

悲しいなぁ。」








わざとらしくしゅんとする本郷君がなんだかおかしくて


不覚にも私は噴き出した。






「あ、みゆ先生笑った。」



「本郷君が面白いからでしょ。」



「僕そんなキャラじゃないですよ。」








今度は素で拗ねちゃった。






私は座っている本郷君と目を合わせるようにしゃがんで
彼の顔を覗き込んだ。













「たまになら、英語科準備室で自習してもいいよ。


居残りするなら、ちゃんと勉強しなさいね。」











頭をぽんぽんと叩いてから立ち上がると



本郷君は半ば驚いたのか、目を見開きながら顔を上げた。











「じゃあ、また明日ね。奏多君。」










ドアを閉めながら言ったから



その後彼が顔を真っ赤にしたまま机に突っ伏していたなんて





私は知らない。




















放課後ですよ、先生








(ど、どうしよう……)


(明日からみゆ先生の顔直視できない……!!)/font>









End.

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