生徒K.H

□二人きりですよ、先生
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「お邪魔します。」


「どーぞ。」










………遂に





奏多君が我が家にやって来ました。



まぁ、うちは一人暮らしだからいいんだけれども。






「みゆさんの部屋って、もっと散らかってるかと思った。」

「それ、かなり傷付くよ…」

「学校の机が散らかってるんだもん。」









奏多君は二人きりになると

私を「みゆ先生」ではなく「みゆさん」と呼ぶのが当たり前になった。



また前みたいに
朝は早く来て
放課後は遅くまで居残りして

私に構ってくれる。









「ねぇみゆさん。」


「なぁに?」



「僕、甘いモノが食べたいなー。」



「あー……ごめん、今おやつ系ないかも。」



「えー。」








口をわざとらしく尖らせて

奏多君はソファーに寝そべった。





私を座らせないつもりらしい。













「奏多君、よーけーて。」


「やーだーよ。













……あ、

じゃあ条件。」







「いや、これ私のソファーだから条件とかナシに座らせてよ。」



「みゆさんがお菓子作ってくれたら、ここ空けてあげる。」






私の主張無視か。






奏多君はニコニコしながら「ね?」なんて言ってるし。




それをされると
私が弱いのを彼は分かっているのだ。










「で、何がいいの?マフィン?クッキー?」




「気分的に……クッキー。チョコチップ入れてね。」




「ならすぐ作れるかも。たしか材料あったから。」







キッチンに向かい、戸棚を開けると


案の定材料は揃っていた。







早速生地を作りはじめる。










奏多君がソファーから立ち上がって私の後ろにやって来た。







でも


手伝うつもりはないらしく


ただ私の手つきを見ている。












「…………やりにくいんだけど。」



「みゆも照れるんだ?」



「…………。」










やばい、

今 絶対顔赤い。







「……奏多君のサド…。」



「みゆがマゾだからでしょ?」



「私マゾじゃないもん。」



「本当に?」










急に体をくっつけられ


耳元で囁かれる。









吐息が耳にちょうどかかって


頭が真っ白になって
全身から力が抜けた。







奏多君に体重を預ける形になって、




体勢を立て直そうとしても

足に力が入らない。






横目で彼を一瞥すると




奏多君はニヤリと笑っていた。











「……ねぇみゆ。








お腹空いちゃった。」












「……今作ってるでしょ…」





「そうじゃないよ。」
















支えられていた肩に載せられている奏多君の手に力が入る。













「みゆが食べたい。」
















二人きりですよ、先生








(「ベッドはどこですか?」)

(「え、ちょ、奏多君!?」)

(「言わないなら…さっきのソファーでも僕は構いませんけど……クスッ」)

(「……やっぱりサドだ…」)









End.

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