生徒K.H

□卒業ですよ、先生
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無事にクラスみんなが卒業できて

尚且つ進学もほとんど決まって




ほっとしながら私は卒業式を迎えた。





勿論、奏多も大学進学が決まりました。


元々心配もしていなかったけれど
合格の知らせは素直に嬉しかった。






「みゆ先生、写真撮りましょう!!」


「先生ウチらともー!!」


「はいはーい」






今日ばかりは奏多も寛大なようで
男子との写真撮影でも
いつもみたいな刺のある視線は感じない。


奏多を伺うと
彼は彼で人気者だから写真撮影に忙しいみたいだ。






「みゆ先生また学校来ていい?」

「いつでもおいでよ。私待ってるから。」

「先生メアド交換してください!!」

「俺も!!」 「ウチともお願いします!!」

「わーかった、わかったから!!」





みんなに囲まれながらちょっと涙ぐんでいたら


奏多がいつの間にか同じ輪の中に入ってきて
私の隣にいた。





「みゆ先生、俺と写真撮ってくれませんか。」





優等生の奏多の顔でカメラを向けられる。


いいよ、と頷くと


奏多は近くにいた男子にカメラを預けて


私に肩を並べた。






「はい、チーズっ」






((カシャッ))







「ありがとうございます、先生。」



「本郷君も、卒業おめでとう。」



「俺も……また先生に会いに来ますから。」









その微笑がいつもより晴れ晴れしていて



また胸が高鳴る。








そのうちに
男子生徒や女子生徒の一部が奏多の周りに集まり始めた。




何やらこそこそ喋っている。





しばらくそうしていると


クラスでも特攻隊長的な存在の男子がニヤニヤしながら私に振り向いた。





「先生ー!!本郷奏多君が、先生に言いたいことがあるらしいでーす!!」


「ば、馬鹿っおまっ……」






慌てて男子生徒を前から引きずり下ろし
顔を真っ赤にしながら「お前らなぁ……!!」と毒づく奏多は









久しぶりに見た
等身大の高校生でした。











卒業ですよ、先生








(「で、本郷君。私に何が言いたかったのかな?」)

(「な、何でもないですから…!!」)

(「おい本郷!!今こそ告「だからやめろって……!!////」)







End.

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