生徒K.H

□もう生徒じゃないんですよ、先生
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「……疲れた。」







式が終わって、私も一段落着いた所で


奏多と待ち合わせて
ホテルのレストランに来た。




高級とか、そういう感じではなくて
ただ美味しい物が食べたかっただけね。

私だってまだそんな金持ちではないから
まぁ、今日はプチ贅沢ってところかな。




奏多も制服ではなくて
フォーマルな感じに着替えてきた。




「奏多、卒業おめでとう。」

「ありがと………でも玄関前のアレはないよ……」


「みんな、奏多が私にべったりしてるの気付いてたんだね。」




今日は私が奏多をからかいまくってるな、なんて思うと

余計におかしくて笑いがこぼれる。




奏多は不服そうに
メインディッシュの肉料理を口に運んだ。





「……みゆだって女子の間じゃ俺のこと可愛がってるんじゃないかって噂されてた癖に。」


「随分反撃が弱々しいんだけど。奏多、本当に参ってるんだ?」


「……うん。」







素直に頷きながら

彼はもう一欠けの肉をフォークに刺した。









そして、お待ちかねのデザートのガトーショコラも美味しくいただき、


私は食後のワインを出された。
奏多は未成年だから、高そうなジュースだけど。





「ねぇみゆ。」

「ん?」




ジュースの入ったグラスを置きながら、
奏多はにこにこしながら私を見た。




「卒業祝いに、一つお願いがあるんだ。」


「いいよ、何が欲しい?」





私もグラスを置いて、奏多に向き直る。


奏多は悪戯な笑顔で唇を開いた。








「もう、生徒じゃなくて


一人の男として見て欲しい。」















もう生徒じゃないんですよ、先生








(「奏多……。」)

(「いいだろ、みゆ…?」)








End.

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