妖精の尻尾【中編】

□学校***
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ベルとフリードが家の前まで来るとグレイがいた。
「よぉ、遅かったじゃねぇか」
『待っててくれたの?』

「ああ、まぁな・・・。」
「あまりにできの悪い生徒だったからな・・・ついでにお仕置きもしておいた」
フリードはニッと笑うと自分の鎖骨の辺りを小突く。

「お仕置き・・・・?」
『じゃ、フリード、今日はありがとう』
「しっかり復習しとけよ」

『わかった。おやすみ〜』

(・・・・お仕置きってなんのことだ?)
グレイは不審に思い、ベルを上から覗き込むと、鎖骨の紋章には赤く内出血した小さな跡があるのを見つける。

「!!!!??」
グレイはガバッと、ベルの上着をめくる。
『ちょっ!!グレイ!!』

「・・・・おまえ今までどこにいたんだよ?」
『・・・だから図書館に・・・』
「図書館なんてとっくに閉まってんだろ?!」
『あ・・・えと、その後・・・』
フリードに押し倒された罰の悪さを隠すためごにょごにょと声が小さくなる。

「どこにいたのかって聞いてんだよっ?」
『・・・グレイ、顔怖いよ?・・・・フリードが部屋で勉強教えてくれてたの・・・』
「二人っきりでか?!」
バンッと壁を殴りながら聞く。
びくっと身体をベルは震わせ、頷く。

「・・・・そうかよっ」
『え?・・・ちょっとグレイ?』 
「ちっきしょっ・・・」
ガンっと再び壁を蹴ると、自分の部屋に戻っていく。
バタンっと荒々しくドアが閉められる。


『も〜・・・・なんなのよ、一体』



グレイの部屋では・・・・
(あいつ・・・あのキスマース・・・。フリードと一体何してたんだよ?)
頭をガシガシ掻きながら、ソファーに座り込む。


次の日------------------------------
『あ、ルーシィ、おっはよ』
「あれ?めずらしいね?一人?」
『うん、置いてかれたの』
「・・・・ところでなんでグレイはあんなに怒りを撒き散らしてるのかしら?」
『・・・・さあ?』

「ところでそのキスマークは誰の仕業?」
ミラがカウンターからニコニコして聞く。
『え?・・・わ・・・なに?!これ?』
「・・・・つけられて気づいてないってそれ、ど〜なの・・・?」

「・・・相手はグレイ・・・じゃなさそうね?」
う〜ん・・・とミラはみんなに当り散らしてるグレイを見て悩む。
『や〜ん・・・この絆創膏で隠れるかな〜?』
「・・・それいかにもって、逆に目立つわよ」

「あ、ベル、どうしたの?怪我したの〜?」
『あ、ハッピィ。違うの・・・これは』
「キスマーク隠してるのよ」
『ちょ!ミラさん!!』

「え〜おいらも、見たい〜」
『み、見せもんじゃないから・・・』
「お?なんだ?ハッピィ、何が見たいんだ?」
『ナツ』

「ベルのキスマ・・・もがっ」
『なんでもないのよ、ナツ』
慌ててハッピィの口を塞ぐ。

「ベルはキス魔なのか?」
「おいらもキスしてほし〜」
『だから!違うでしょ!』

「それでグレイの機嫌が激悪な訳ね〜」
「ルーシィ、それは関係ないと思うけどっ」
(気づかないあんたは鈍すぎよ)
かわいそうに・・・とグレイを哀れ見る。



いつもは声をベルにかけてギルドを出るのに、グレイはそのままさっさと帰ってしまう。
『あ、ちょっと待ってよ・・・グレイ』
グレイはそのままズンズンと歩く。
『ちょ、グレイっ、待ってってば・・・』
はぁはぁっ・・・と息を切らしながら追いかける。

急に止ったグレイの背中にそのまま突っ込む。
『いたっ・・・も、急に止らないでよ』
「・・・なんの用だよ?」
『なんで怒ってるの?昨日からずっと・・・黙って怒ってないでちゃんと言ってよ』
「・・・・」
『・・・グレイ』
その声は半分涙声だ。

「なんで怒ってるかだって?!人が心配してんのに、お前は平気な顔してキスマークまでつけてきやがって!!」
ビリッと乱暴に鎖骨に張られた絆創膏をめくりとる。
そこにはまだうっすらとキスマークが残る。

『いっ・・・』
「フリードと何があったのかなんて、怖くて聞けねぇよ・・・」
『・・・グレイ?なんでそんなに怒ってるの?』
「なんでかって・・・?!ちょっと来い!!」

グレイは無理やりベルを路地裏のビルの間に押し込める。
そしてベルの顔を両手で抱えると、そのまま自分の唇を強引にベルに重ねる。
『・・・んっ!!』
『や、グレイ・・・はなしっ・・・・んっ』
逃れようとするベルの手首を捕まえ頭の上に、壁に押し付け再び唇を重ねる。

『んぅ・・・んっ・・・』
くちゅ・・・
グレイの舌が入ってくる。
『んっぁっ・・・』

暫くベルの唇を犯したあと、やっと唇を離す。
『・・・ぐれ・・・い?』
「わかっただろ?これで・・・」
『・・・・っ』
「わるかった、強引な事して」

『グレイ・・・私』
「・・・先、帰るわ」
『・・・・っ』

ポロポロとベルの目からはとめどなく、涙が溢れる。
やっと家にたどり着いた時、グレイが丁度上から降りてきた。


「よぉ、おかえり」
『・・・ただいま』
「オレさ、もう遠慮するのやめるわ」
『え?』
「だからこれからは堂々とお前を奪いに行くってこと!」
『え・・・』

「おまえが今はフリードの彼女かもしれねぇけど、奪い取ってやるからな」
『え??』
「覚悟しとけよっ!」

言うだけ言うとスッキリした顔で再び階段を上がってゆく。
(え〜?!ってかなんで私がフリードと付き合ってることになってる訳?!)
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