妖精の尻尾【中編】
□ララバイ
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ベルは、いつも通りカウンターに座って、オムライスをほおばる。
その様子を、コーヒーを飲みながら、見守るグレイ。
「ねぇ、ベル、悪いんだけどちょっと買い物頼まれてくれない?」
『いいよ〜、ミラ。』
「ちょっと遠いんだけど、サンザス港の町のここで、これを受け取ってきてほしいの」
『オッケ。あ〜じゃあ、なんかついでに近くでクエストない?』
「う〜ん・・・そうねぇ・・・あ、こんなのはどうかしら?」
『どれ?・・・迷子の妖精探し・・・フェルト森・・・か』
「フェルトの森は一般人立ち入り禁止区域だろ?」
「・・・だから依頼がギルドにきたのよ」
グレイがひょいっと依頼書をベルの手から奪い取る。
『よし、じゃこれに決定!』
「おいおい、オレと別件のクエストに明日から行く予定だろ?」
『明日までに終わらせてくるって。大丈夫っ♪』
「一人で行く気かよ?」
『もう、心配性なんだから・・・グレイは明日のクエストに備えて休まなきゃ・・・』
「僕が一緒に行こうか?」
『ロキ!』
「いや、俺が一緒に行ってやるぜぇ」
『エルフマン!』
「だ〜っ!!オレが行くっつぅの!オラ、行くぞ」
『ちょ、ちょっとグレイっ・・・』
ぐいっとグレイはベルの腕を掴むとギルドの出口へ向かう。
『ミラ〜・・オムライスごちそうさまぁ〜』
「いってらっしゃ〜い」
「・・・結局、グレイに連れて行かれちまった」
「あの二人・・・どうなってんの?」
「ふふふ・・・兄弟みたいに育ってきたから・・・でも今はどうかしらね?」
ミラは嬉しそうにふふふ・・・と笑う。
『グレイ・・・も、離してよ・・・』
「お、わりぃ」
『ねぇ?大丈夫なの?明日結構大仕事なんでしょ?』
「オレ様には楽勝だっつぅの。ベルは心配すんな」
くしゃっとベルの頭を微笑んで撫でる。
『ん・・・でも』
「ほら、さっさと終わらせようぜ」
『ん。わかった』
にこっとグレイの顔を見上げて微笑む。
(ほんっと・・・・可愛い・・・)