妖精の尻尾【中編】

□おつかい
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『ミラー、おなかすいたよぉ、オムライス食べたい〜』
「おまえは、まぁたオムライスかよっ」
「はいはい、ちょっと待っててね」

昼時、いつも通りギルドはワイワイガヤガヤうるさい。

『グレイにはあげないからー』
「なんだよ、一口ぐらいくれよ?」

『も〜、なんなのよっ』
「オレはハヤシライス」

『グレイだってそればっかじゃん!』
「いいんだよ、好きなんだから」

『一口頂戴ね』
「おまえこそなんなんだよ(笑)」
くしゃっとベルの頭をなでる。

「あんたら、毎度毎度お昼ご飯のたびに、いちゃついてんじゃないよっ」
「べ、別にいちゃついてなんかいねぇだろっ/////」
『まぁたお昼から飲んでるの?カナ』

「ベルも飲むか?」
『飲まないよー。』

「はい、ハヤシライス」
「お、ミラさん、サンキュー」

『あー、グレイの方が先だなんて、贔屓だ!』
「もうすぐできるから・・・」

『グレイ、あ〜ん・・・』
「おま、オレだってまだ一口も食べてねぇのに(その顔、可愛すぎだろ!)」

グレイは文句を言いながらも、スプーンにハヤシライスをのせて、ベルの口へ運ぶ。
『おいひぃ〜』
「そうか(可愛いな〜)」
グレイもベルの幸せそうな笑顔につられて微笑む。

「グレイ、今ベルの顔見て、こいつ本当に可愛いな〜っとか思ってんだろ?」
「んなっ!!////////」

「図星かよ・・・あいかわらずウブだな、おまえ」
うひゃひゃひゃ・・・とカナは笑いながら、おかわりのお酒を持ってテーブルへ戻る。

『どうしたの?グレイ』
「な、なんでもねぇよっ」

「はい、お待たせ。ベル」
『・・・・ミラさん、これは?』

「こりゃケチャップライス・・・だな」
『ミラ〜っ、卵は?ふわってした甘い卵乗ってないよ〜っ』

「実は卵切らしちゃってて・・・ごめんね」
『ぶぅ〜』
「ほら、そんなことで泣くんじゃねぇよ」

「だから後で卵買ってきてくれる?」
『今から行ってくる!』
バッとベルは勢いよく立ち上がる。

「おい?!ちょ、オレまだ食べてるし」
『いーよ、一人で行ってくる』

「ちょっ・・ベル待てって。」
『大丈夫だよ〜、卵買いに行くぐらい』

「そうよ、グレイ、あんたどんだけベルに過保護なのよ」
ルーシィがあきれるようにつぶやく。

「な・・・、変な奴についてくんじゃねぇぞ」
『わかってるって。いってきまぁす』

「はぁ〜・・・」
「ふふ、グレイは心配性ね」

「あいつは目離すと、どっかいっちまいそうだから・・・」
「そこが可愛いのよね?」

「/////////」
「冷めないうちに食べてね」
ミラはふふっと微笑むとケチャップライスにラップをかける。





『おじさ〜ん、卵二パックくっださいな〜』
「あいよー、おや、めずらしい一人でおつかいかい?」

『おつかいぐらい、一人で来れますよ〜』
「はっはっはっ・・・そうか、そうか。ほらよ、とびきり新鮮なうまい卵だぞ」

『ありがとー、おじさん』
ベルは、小走りでギルドへ向かう。

『オッムライス〜♪』
鼻歌を歌いながら道を歩く。

「わ〜危ないっ、よけてっ!!」

『へっ・・・?』
キキキーッ・・・グワッシャーンっ!!!

ベルのすぐ真横を自転車が、ものすごい勢いで通り過ぎ、壁に激突した。
『大変!』

すぐさまベルは駆け寄る。
『あのっ・・・大丈夫ですか?!』

「へ、へ〜き、へーき・・・」
茶髪のツンツンした髪型の男の子は二カッと笑顔をみせる。

『ごめんなさいっ・・・私がオムライスに夢中だったから』
「いや?・・・実は自転車のブレーキ壊れちゃってさ。君こそ大丈夫?怪我はなかった?」

『私は大丈夫・・・あ〜っ!!!』
「どうしたの?」

『卵が・・・・』
袋の中の卵が先ほどのすれ違いざまにあたったのか、半分ぐらい割れていた。

『オムライスが・・・・』
ふにゃぁ・・・と泣きそうになる。

「ぬぅおっ!泣くな、泣くなよっ!俺が買ってやるよ、卵」
『ほんと?!』

「ああ、ぶつかったのは俺だしなー(泣いたり笑ったり可愛い子だな)」
『ありがとう!』

「・・・・可愛い」
『え?』

「おまえ、めっちゃ可愛いなー。俺惚れたかもっ」
『なっ・・・//////』

「告白されたの初めてなん?」
『//////』

「こんな可愛い子、ほっとくなんて世の男たちはどうなっとんねん!」
『あ、あの・・・?』

「俺、ケント。魔導師見習いの修行中なんだ」
『私はベルです。妖精の尻尾の魔水晶魔導師です』

「フェアリー・・・テイル?!」
『うん、そうだけど・・』

ケントは、ベルの手をぎゅっと握りブンブン振る。
「俺、今フェアリーテイルに向かってる途中だったんだぜっ!」

「最強魔導師の集まりだって噂聞いてよー、修行するにはうってつけだろ?」
『・・・そうかな?』

「いやー、ここでベルに会えたのも運命に違いないぜ!さ、いざフェアリーテイルへ!!」
ぐいっとベルの肩を抱き寄せて、ズンズン進もうとする。
『わっ・・・ちょっと・・・』

「おっと、いけねぇ!卵忘れるとこだったぜ」
『あ・・・』

「ベルも忘れてたのか・・・おまえ、天然だな」
『ぶぅ〜』

「そんな可愛い顔したって駄目だぜ〜・・・、あ、おじさん、卵おくれよ」
「あいよ・・・あれ、ベル、また来たのかい?」

「俺が卵割っちまってな〜。・・・とサンキュ、おじさん」
「まいど〜」

「ほら、今度は割るなよ」
『ありがとう』 

二人は仲良く妖精の尻尾のギルドへ向かう。
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