妖精の尻尾【中編】

□おつかい
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『ただいま〜ミラっ』
「あら、ずいぶん遅かったわねぇ・・・・」

「へぇ〜・・ここがフェアリーテイルか〜」
ベルの肩に手を乗せながら、つぶやく。
「・・・・ベル、誰、その子」
『あ、えっとね・・・・』

「あ〜ん?誰だ、てめぇっ。」
グレイは、ベルから、ケントをはがす。
「へ〜・・・ベルちゃんは、人気者みたいだね?」

意味ありげに、ニヤッとグレイの顔を見て笑う。
「あぁん?喧嘩売ってんのか、てめぇっ」
タバコを咥えながらケントの顔に顔を近づける。

「ふんっ・・・」
ケントはタバコの火のついた部分を、指先で握りつぶす。

「てめぇっ!」
「お?喧嘩か?オレもまぜろー!」
『ナツっ!ややこしくなるから、駄目!

ぐぬぬぬ・・・とグレイとケントは睨み合う。
『ちょっと、ストップ、ストップ!!』
ベルが慌てて二人の間に入る。

「なんじゃ、騒々しい」
「あ、マスター」

「ん?おまえは?」
「はいっ!ケントって言います。魔導師見習いです!フェアリーテイルで修行しようと思ってきました!」

「・・・・修行?」
「はいっ、俺世界一の魔導師になるために、いろんなギルドで修行させてもらってるんです」

「・・・そうか、ではギルドへ入る訳ではないんじゃな」
「・・・はい、どこかへ所属する気は、今のところはないです」

「じゃ、フリーの魔導師なのね」
「どうします?マスター」

「ふむ・・・・ここでよければ修行してくがよい。」
「はいっ!ありがとうございます」
『よかったねーケント』

ケントは、ベルに抱きつきながら、
「ありがとなー」
とお礼を言う。

グレイがその光景を見て、顔に青筋をたてる。
「じゃ、俺はみんなに挨拶してくるよ」
ギルドのみんなへ挨拶に回る。

『ミラ・・・はい、卵』
「あら、割れてるのもあるじゃない?」

『ケントが、自転車でぶつかって・・・』
「なんだと?!怪我はないか?」

『大丈夫、かすっただけだから。で、卵買ってくれたんだよ〜』
その笑顔は、いい人だよ〜っと言っている。

「じゃ、今温めなおすわね」
「おまえな〜、変な奴についてくなっつったろ?」
『ついてってないもん!ついてきたんだもん』

「連れてくんなよ・・・ったく、しょうがねぇやつだな。大体おまえは普段から・・・」
「はい、お待ちどうさま」

『わ〜い、オムライス♪』
「オレの説教は終わってねぇけど?」

『おなかすいたも〜ん』
はぐはぐ・・・とオムライスを口にいっぱい詰め込む。

「ほら、ケチャップついてるぞ」
口元についたケチャップをグレイが指ですくい取って舐める。

『ん〜♪おいし〜』
「なに、二人はつきあってるの?」

『げほっ・・・』
ケントは二人の座るカウンターに覗き込みながら、座る。

「なんだよ、てめぇは・・・」
「オレさー、ベルに一目ぼれしたんだ。」

『げぇほっ・・・な?・・・ケント?』
「んな?!」

「だから・・・グレイくんだっけ?ライバルかなー?確認しときたくて」
『ちょ・・・さっきのあれ冗談じゃなかったの?』

「・・・・さっきの?」
ギロっと青筋をたてケントをにらみつける。
「グレイとつきあってんの?」

『・・・・』
「つきあってねぇよ」

「そっか、よかった」
「けど・・・ベルは、おまえなんかにゃ、渡さないぜ」

「へ〜・・・そう?・・・・顔が真っ赤だよ、ベルちゃん。・・・ほんと、可愛いね」
『////////』

「ケント、こっちへきてくれんかのぉ」
「はい、マスター」

ケントはマスターに呼ばれ、走っていく。
『・・・・・・・』
「オムライス・・・・冷めるぞ」

『あの・・・グレイ』
「あ?なんだよ?」

「ついに愛の告白ねっ!」
ミラが嬉しそうに、手を組む。

「『え?!』」
「長かったわね〜ここまで。でも、まぁ、まだエルザとギルダーツ倒さなきゃ、二人はカップルにはなれないわね〜」

「グレイ、とうとう告ったのね?!」
ルーシィも嬉しそうに二人に微笑みかける。
『え?』

「ちょ・・・おまえら、うるせぇ〜っ!!!!」
「何よぉ、あたしたちはいつもあたたかく見守ってあげてるでしょー」

「ルーシィ、おまえなー」
『・・・・グレイは、誰に告白したの?』

「「「え?!」」」
「・・・・かわいそうな奴」
「ほんと、ベルは鈍感ね〜」

『え?・・・どういうこと?』
「だ〜か〜ら〜・・・」
ルーシィがじれったそうに、説明しようとする。

「だ〜っ!もういい!ちょ、おまえっ、こっち来い」
『わ〜・・まだ食べかけなのにぃ』

グレイはベルの手首を掴み、とりあえずギルドの外へ出る。
「おまえの思考回路は一体どうなってんだ?」
『なによー、馬鹿にしてんの?』

「してる!いいか。一体どうしたら、おまえに伝わるんだ?」
『意味わかんないっ』

「さっきのケントとの会話覚えてるか?」
『あ〜・・・なんとなく・・・』
「なんとなく?!」

『だってオムライス食べてたし・・・』
「・・・・」
『あ、でも、ケントに告られたのは・・・・』

「・・・いやいや、その後は?!」
『・・・・・なんだっけ?』

だは〜っ・・・とその場に崩れ落ちるグレイ。
「いいか!よぉく聞け!オレはおまえの事が・・・」
「ベル〜!」
『ケント?!』

「マスターがベルに、世話してもらえって」
『あ、うん。わかった。じゃあ、後で中行くから・・・』
「了解〜」

『あ、ごめんね、グレイ。なんだっけ?』
「・・・・もう、いい」

『・・・・じゃ、あとでね?』
「ああ・・・」
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