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□ブランデーチョコと、
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ある日、
「ラピル、これあげるよ」
「ん? あぁ、ありがとうキャンチョメ」
キャンチョメから、
綺麗にラッピングされたチョコをもらった。
「…ふう、」
王宮の書斎にて、ゼオンは一息つく。
今日の仕事を終え、
書類を片付けていると、
────ガチャリ
「…? 誰だ」
書斎のドアが開いた。
「…ぜ、おん」
「ラピルか。
どうした、何かあったのか?」
ドアを開けた人物がラピルだと分かると、
ゼオンは書類から顔を上げた。
「…、んふ」
ラピルは後ろ手にドアを閉めると、
ゼオンにつかつかと近寄る。
「ラピル?」
「ぜおん、あのねぇ、僕ねー、」
ラピルはゼオンの隣にしゃがみ、
にっこりと笑った。
ゼオンは一瞬目を丸くし、
ラピルの顔をもう一度見る。
にっこりと笑顔を浮かべた紅い頬。
─────…紅い?
「ラピル、お前…」
「ぜおんだいすきぃー」
言いかけた所で、
ぎゅうっ、と抱きつかれた。
その時にふわりと香った、
チョコレートと僅かな酒の匂い。
…こいつ、まさか、
「酔ってんのか?」
「むぅ、よってないよーぅ」
…ブランデーチョコでも食いやがったか。
しかし、これでは書類の整理が出来ない。
「おいラピル、離れろ。
書類整理が出来ない」
「…いやー」
「…はぁ。」
ゼオンが困った様にため息をつく。
すると、
「…さみしーよ…」
ラピルが小さく呟いた。