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□零れた、涙は。
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「──────…、」
…分からない。
別に、悲しい訳じゃない。
別に、泣きたい訳じゃない。
分からない、けど
・・・・・・・
今、僕が泣いているのは確実に分かる。
拭っても拭っても止まらなくて、
ぽろぽろと溢れ出てくる。
止まらない、止まらない、止まらない。
何故?
何故僕は泣いているの?
理由なんて分からない。
知っているのは、涙だけ。
胸に穴が空いた様な、この感情はなんだろう
一人が怖くて仕方がない様な、
この感情はなんだろう
夜空に溶けてしまう様な、この感情はなんだろう
今は亡き両親を探したくなる様な、
この感情はなんだろう
心が泣いている様な、この感情はなんだろう
分からない。
…分からないよ、僕には。
涙は零れたらどこへ行く?
そんなの、決まっているよ。
零れた、
涙は。
(…ねぇ、ゼオン)
(君ならこの感情の名前、…分かるかい?)
(分かるなら教えてくれないかな)
(こんな嫌な感情は、)
(…捨ててしまいたいから)
その感情は、寂しさ。