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□大好き。
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ゼオンはラピルを見つめ、
くく、と笑った。

「む、何が可笑しいんだい?」

「…いや、お前はつくづく可愛いと思ってな」

突然の誉め言葉に、ラピルは思わず、

「は?」

と返してしまった。

「そういう天然な所も、嫌いじゃないぜ?」

ゼオンはくつくつと笑って、
ラピルの唇に指を這わす。

「なんだい、ゼオ、ン?」

ラピルの唇が動けば、それを指でなぞった。

そのまま線を書くように指を引き、

「む、ゼオン?
僕の話、聞いてるのかい?」

ラピルの口が開いた瞬間に、親指を突っ込んだ。

「んむっ!?
ちょ、ふぇおん…?」

「ククッ、エロい顔しやがって…。」

ゼオンは親指で舌を絡めるように弄ぶ。

「ん、…ふ…」

ラピルの口の端から、銀の糸が伝った。

ゼオンは一頻りラピルの口内を犯すと、
ゆっくりと親指を抜く。

つ…、
と伸びた糸が切れる前に親指に舌を這わす。

「…甘い」

にやりと口元を歪め、
見せつける様に指を舐めるゼオン。

ラピルは僅かに頬を紅潮させた。

「…ゼオン、君なんか艶かしいんだけど」

口の端に垂れた糸を拭い、ラピルは眉を寄せた。

「それと、急に指突っ込むのやめてよ。
驚いたじゃないか」

するとゼオンは意地悪く笑みを深め、ラピルの頬を撫でる。

「なぁラピル、
…オレ以外に食わせるなよ。」

「…む?」

言っている意味が分からない、
とでも言いたげに首を傾げるラピルに、ゼオンはまた笑った。

今度は、少し愛しさが交じった様な優しい笑顔で。

「…ラピル、悪いがオレは仕事がまだあるんだ」

「あぁ、すまなかったねゼオン。
…仕事、頑張ってね」

ラピルはゼオンにそう言うと、
書斎を出ようとドアノブに掛け────、



くるりと、振り向いた。



「ゼオン!…あのね、」


大好き。



(不意討ちの言葉と柔らかな笑顔)
(…実はブラゴに妬いた、なんて)
(一生涯言ってやるものかと心に誓った)


                        
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