嘘つきちーくんと壊れたまーちゃん

□01.
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季節は夏。
終業式が終わって、今日から夏休みだという放課後俺は一人の女子高生の後を追っていた。
決してストーカーではない。


ターゲットは俺の前から数十メートル離れたところを歩いている、伊達政宗っていう女子。
伊達政宗は美人だ。とてつもなく美人。
彼女に「死ね」と言われれば喜んで死んでやれるほどの美人さだ!
嘘だけど。少なくとも俺は、な。
でも、それ程までに彼女は美人なのだ。


ここは田舎だから周りには田んぼが結構多い。
伊達さんが振り向いた場合、地震の身を隠す場所が無い。ほんと、無い。
いざとなったら田んぼの中にでも飛び込んでやろう。
それくらいの勢いと勇気がなければ探偵なんて勤まらない。
あくまで持論だが。


田んぼ道を抜けるとぽつぽつ一軒家が見受けられるようになった。
飛び込まなくて良かった、と一安心。

やがて住宅街へ入り、大通りへ出た。

道路を渡った先には楽園という名のスーパーがある。
そこへ伊達さんは向かっているようだ。
つか、こんなに暑いのに汗ひとつかいてない伊達さんは尊敬に値する。
俺なんて汗びしょびしょだぜ?

伊達さんはやはりスーパーに用があるみたいだ。自動ドアを抜けていく姿が目に入る。
店内までは追わずに少し離れた場所にある自動販売機の前で、何を買おうか迷っているように装い、
伊達さんが買い物を済ましてくるのを待った。









最近、この街では連続殺人事件と失踪事件の二件が起きていた。全く、物騒な世の中になったものだ。
連続殺人事件なんてテレビのドラマの中での話だけかと思っていた。現実味、あんまりないし。

殺人事件は40代後半のおっさんが夜中、何者かに襲われ惨殺死体として発見されたのが皮切り。
あまりの惨状の酷さに警察の人でも何人かリバースしたんだそうな。実際は知らないけど。
犯人の遊戯の一環と見て、世間様には精神障害者と騒がれた。

お次は、小学三年生の男の子が虐殺された。手足の骨が折れ、首があり得ない方向に曲がっていたらしい。この時点で女性が犯人である可能性は極めて低い。
言っておくが、俺は探偵でも刑事でもなんでもない只の一般ピープルだから客観的な感想を述べただけである。だから、犯人は女性かもしれない。

失踪事件にまき込まれたのは、ここから近場の小学生だった。今も、昔も。




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