10万打企画 BOOK3

□愛情に勝る
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「少しは心配する気になった?」

手術衣を着せられた女はベッドの上で吼える
ニヤリと上がった口角が憎たらしい事この上ない

「…誰がだ」
「何だ、つまらないな」

つまらない?
何がつまらないと言うのか是非ともお聞かせ願いたいものだ

悪戯に命を弄ぶなど正気の沙汰ではない
何故、そう何度も死に急ぐのか、それ程までに世界はつまらないか

「……子供のような真似ばかりして…何がしたいんだ、お前は」
「………」

聞いているのかいないのか、虚ろな瞳で窓の外を眺めては呟いた

「何も……何かをしたくてこんな所にいるわけじゃない」
「………」
「したい事なら山程ある、求めた結果がこれであって、結局は成し得てない」
「…馬鹿にしてるのか?」
「誰を?貴方を?まさか」
「………」
「まあ、強いて言うなら自分を」

やはり馬鹿にされているような気がしてならない

そう内心で呟いて立ち上がる
女に背を向けると同時に聞こえてきたのは…

「簡単な事すら叶わない、何が足りない?努力?もう嫌という程したわ、勇気?そんなものないわ、あったらここまで苦労してない、ねえ十四郎…」
「……何だ」
「どうして私は1番になれないの?」
「………」

そこそこ整った顔立ちに、貧しくはないが特別裕福なわけでもないそれなりの家柄、交友関係までは知らないがそれについて嘆いている様子とは違う

「好きな男でもいるのか」
「報われないの」
「分かってるならとっとと諦めろ」
「貴方に…そんな事言われたくないわ」
「………」
「…でも、貴方に言われたんじゃ、そうするしかないのかもね」
「………」

悔しげに寄せられた眉と何かに耐えるよう結ばれた口元が、予想以上に痛々しかった

「………」
「……だから…死に急ぐのか」
「心外だわ、そこまで子供じゃない」
「なら、何故」
「言ったでしょう?したい事なら山程あるって、ねえ十四郎、流石に心配した?」
「………」

意味が分からない、



情、劣情




(貴方さえいなければこんな感情必要なかった)






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