誕生日
□跡部
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「景吾さん…何か欲しいものありますか?」
ノックの音と共に生徒会室に入ってきた若に尋ねられた。
いつも意地を張っているからか、誕生日当日に聞きにくる所が若らしくてつい笑ってしまう。
「…早く答えてください」
笑われて機嫌を損ねたのか、先程より低い声で促される。
「何でもいいのか?」
「はい…あまり高価な物でなければ」
その答えも若らしくて、
慣れないことをしているせいで顔を赤くしている様が可愛くて。
「そんなもん決まってんだろ、あーん?」
答えつつ抱き寄せるが、珍しく抵抗されない。
さらに腕に力を込める。
「…若以外いらねぇ」
その一言で身を固くしたのが分かった。
…さっきより赤くなってるんだろうな。
顔を覗こうとするが、それには抵抗された。
「…誕生日おめでとうございます…景吾さん」
観念したのか、恥ずかしそうに告げられる。
素直じゃなくて、でも可愛くて、愛しくて。
「今日1日は…好きにしていいんだよな?」
「え…」
困ったように言葉を探す若に、有無を言わさず口付ける。
最高の誕生日じゃねーの。
→後書き