誕生日

□仁王
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「におー」

聞き慣れた声に名前を呼ばれ、頬が緩む。

…練習中じゃし、見つかったら真田に怒られるのう。

「なんじゃ、ブン太」
「仁王、今日さ「待った」

練習を中断して辺りを見やる。

ブン太が何を言おうとしたか分かった。

ただ…

「ブン太…どうせなら2人っきりのときがいい」

「あ…悪ィ」

ブン太が落ち込んだのが分かった。
練習に戻る後ろ姿も寂しげだ。

…しょうがないのう。

真田は今のところ見当たらない。他のやつらも適当に誤魔化せばいいだろ。

「ブン太」

名前を呼ぶと、立ち止まりはしたけどこちらを向こうとはしない。

「ブン太…やっぱり今聞きたいけん、こっち来んしゃい」

「何だよ…ワガママなやつ」

はにかみながら振り返ったブン太が可愛すぎて、思わず近づき、抱き締める。

「なっ何すんだよ!みんなの前でっ」

「悪い…でも我慢できん」

ブン太の肩を抱いてコートから離れる。

「ばかっ…おまっ…皆に何言われるか「何言われても俺は気にせん」

困ったように訴えてくるブン太を見ると愛しさが募り、もっといじめたくなる。

「ブン太は…俺以外のやつを気にしとるん?」

「え…気にする…つーか…恥ずかしい、つーか…」

「何が恥ずかしいんじゃ?」

ワザと低い声で問う。
すると、顔を真っ赤にして睨んでくる。

「わかってること聞くな…!そんなことより…仁王、誕生日おめでと」

無意識であろう上目遣いでそんなことを言われたら、耐えられるはずがなくて。

「ありがとな…ブン太…大好きじゃ」

「俺も…大好、!?」

返事を待たずに唇を奪った。

ブン太…これからもシクヨロ、なんてな。

→後書き


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