お題
□指先
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「寒いです」
「そうか?」
「…はい」
いつもの通学路。
ただ、隣にいる、いつもと違う存在に甘えたくなって。
「ほんとに…冷たいな」
差し出された手に恐る恐る触れると、すぐに両手で包み込まれた。
指先から伝わる温もりに、顔が熱くなる。
「ククッ…少しは暖まったみてぇだな?」
顔の赤さに気づくと、満足そうに笑う。
そして、当たり前の様に手を繋がれた。
指先が触れ合うだけで、愛しさが溢れてくる。
…でも、学校に着く前に、手を放してもらわなくちゃな。
この人が放してくれるか不安だが。
そんな葛藤に気付いてか、絡められた指先に、力がこもった気がした。
→後書き