お題

□36℃
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日曜の午後、家に遊びに来たかと思えば、俺のことはそっちのけで音楽を聴きまくる光。

「謙也さん…体温計あります?」

「体温計…?急にどないしたんや…?」

することも無く、半分寝かけていた俺の背中にもたれながら、ヘッドフォンを外した光に尋ねられた。

「………はぁ」

「あぁもう分かった!すぐ持ってくるわ!」

心底面倒くさそうに息をつかれ、心に傷を負いつつ体温計を探し出してダッシュで持っていく。
…パシりかっちゅーねん。

「光〜持ってきたで」

「ん」

ん、て…どんだけ面倒くさいんや…。

更にショックを受けつつ、体温を計り始める光を見やる。

「具合でも悪いんか?」

暫くして尋ねると、同時にピピピッと連続して音が聞こえた。

「……微熱っスわ」

「微熱ぅ?何度あるんや?」

「36℃」

「はぁ!?それが微熱て…光の体はどないなっとんねん!!」

「…謙也さん、何か如何わしく聞こえますわ…変態なんすか?」

「い、いや変態ちゃうから!!…光…平熱何度やねん」

人聞きの悪い一言に反論しつつ(まあ誰も聞いとらんけど)、再び問う。

「平熱?35℃くらいやったような…」

「はぁ!?何やそれ!?…あ〜っもうええわ!!寝とき!」

ベッドを指差して促すと、やっぱ変態っすわ、と呟かれる。

それでも大人しくベッドに横になった光。

…まあ、一応具合悪いんやし。
優しくしてやろう、と思い、頭を撫でてやると、不意に手を掴まれた。

「…やめてください」

「あ…すまん…って…光、顔赤ぉ無い?」

「…謙也さんのせいで…熱が上がりそうっすわ…」

「っ…」

「アカン…頭ボーッとしてますわ」


36℃ 素直になる口実


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