*なんでやねん*

□第5話
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「あ、保健室の姉ちゃんや!」

保健委員で白石さんやテニス部の方々と知り合って何日か経った。

ちなみに私はあれを「白石事件」と呼んでいる。
……嘘である。

いや、これから使おう。
白石事件のあと、特に何かあるわけでなくいつもと変わらない中学生活を送っていた。

そして私は今、登校中である。
登校中といっても、もう学校についた。

正門をくぐって校内に入った瞬間、とても元気な声が聞こえてきた

「姉ちゃん、おはようさん!」
『お、おはよう』

元気な声の持ち主はこの前の赤髪の男の子だった。
私の前まできて、やはり元気よく挨拶をしてくれる
確か名前は……。

「金ちゃん!そげん走ったらまたつこけるばい!」

そうそう、金ちゃん!金太郎くん!

『………ん?』

突然聞こえてきた第三者の声に、金太郎くんから少し視線をあげる。

「千歳ー!遅いでぇー!」

……少し視線を上げたくらいではその人物は私の視界に入らなかった。

いや、詳しくは入ったのだが…胴体から足にかけてしか入らず、顔が見えなかった。

その人は下駄を履いているようで、こちらに近づいてくる
ってか、今どき下駄って…。

そんな事を考えていれば、もう目の前まで来ていて…

「ほなこつ、金ちゃんは走るのが早かね」

デカっ…!!

金太郎くんの後から来たその人は驚くほど身長が高かった
道理で視界に収まりきらないはずだ。

「ホンマか!?謙也とどっちが早いー?!」
「もしかしたら金ちゃんかもしれんね」

「やったー!」とはしゃぐ金太郎くんと、そんな金太郎くんを見て笑っている長身の人。
それを見ている私はどうしたらいいのだろう…



*

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