*なんでやねん*

□第9話
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パコーン パコーン

これが私の知っているテニスの音だ。
決して、ドオォンッ!バァンッ!という音ではない。
しかし、目の前の光景はどうだろう。

「七式波動球!!」

ドォォンッ!!!

「超ウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐!」

ゴォォォォンッ!

いやいやいや…。
なんだ?ツッコめばいいのか?なんでやねんって言えばいいのか?
隣で「金太郎!それはアカン言うてるやろ!」と白石さんが言っているが、アカンのはお前ら全員や、と言いたい。

なんだその音は!!テニスか!?テニスなのか!?

「どうや○○さん、すごいやろ?」

自慢げに白石さんが話しかけてくる。
……すごいですよとても、えぇ。
テニスって何だっけ?て思わせるほどすごいですよ。

「なんや○○、驚きすぎて声も出えへんか!」

ハハハッ!と笑いながら私の背中を叩くのは忍足さんだ。
……そう、金髪さんは忍足謙也というらしい。「そ、そういえば名前言うとらんかったな!忍足謙也や、よろしゅう!」と若干赤みの残る顔で自己紹介してくれた。

「謙也、トレーニングは?」
「そんなもんとっくに終わったわ!浪速のスピードスター舐めるんやないで!」

忍足さんも意外に身長が高い。
頭の上で交わされる白石さんと忍足さんの会話を聞く。
…浪速のスピードスターってなんだ?

いやいや、今はそれどころではない。この状況をどうするかだ。
結局、白石さんに手を引かれるがままテニスコートの中まで来てしまった。
そして流れで練習を始めた皆さん。
どうやら日直だったらしい金太郎くんが遅れて合流した。
…私も日直なんだけどな。帰りたいな。

「○○さんは俺の隣で見ててや」と白石さんに言われた。
もう一度言おう。私、日直なんだけどな。
「あっ、姉ちゃんー!」と素晴らしい笑顔をくれた金太郎くんに少しだけ癒された。
そしてこの光景である。
…うん、私の脳では対処仕切れない。


*


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