CLUMSY
□CLUMSY
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「あっつくなってきたなー…」
「うお、言うな。余計に暑くなる」
六月下旬。
俺が、ハル――天見千春とつるむようになって、二ヶ月半が過ぎた。
既に日中などは茹だる様な熱気に包まれており、まだ夏服移行期間に入って二日目だというのに、周囲は半袖のカッターシャツで溢れ返っていた。
「やっぱ、温暖化かなぁ。この調子じゃ終業式までもたねーっつーの…」
こういう時にしか考えないような都合の良い単語を吐き出しながら、俺は手にしていた下敷きでパタパタと顔を扇いだ。
「分かる。俺なんかこないだ、練習中にぶっ倒れそうになった奴がいてビビッたよ」
涼しげな目元を緩ませて苦笑するハルに、自然と教室の視線―というか女子の―が集まっていくのが分かった。