long story
□娘の特権
2ページ/2ページ
空が白みはじめた頃、
ようやく宴は終わりを見せた。
至る所にクルーの皆さんが寝転がり
あちこちから鼾が聞こえ始める。
今日という日の一瞬一瞬、
全てを覚えていたくて夜通し起きていた私。
少し霧がかかった明け方の曇った世界は
まるで夢の中の様で、眠っていない筈なのに
ふいに不安に駆られた。
「……ローズさん。」
「ん、シャロン?」
「…これ、夢じゃないですよね。」
もし本当に夢だとしたら
その夢の中の人に聞いても
意味は無いかもしれないけど。
「ふふっ…大丈夫よ。
これは間違いなく現実。
シャロン、あなたは白ひげの娘。」
ローズさんは優しく微笑んで答えてくれた。
その言葉は抱いた不安を掻き消して。
「…良かった……。」
彼女は呟く私の頭をポンポンと撫でる。
「ね、シャロン?」
「…はい。」
「忘れないで?
白ひげは、あなたのお父さんは、
世界最強の男だってことを。」
.