long story
□1人の少女の話
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二年程前の、ジンベエから聞いた話を
こんなにもはっきり覚えていたのは
偶然か、否か。
"海賊船から保護した子だと
言っちょったが、身元不明らしい。
あやつら能力については
はっきり口にはせなんだが…、
一目瞭然じゃったよ。
マリンフォードやらマリージョアやら
果ては軍艦まで、あちこちの火災を
消火させとるっちゅう話じゃ。
能力の制御が出来んとかで
海楼石を嵌められとった。"
"まるで道具だな…。"
眉間の皺をより一層、
深く刻みながら話すジンベエに
確かにおれはあの時そう応えた。
道具だと。
"可哀想なもんじゃ。
海賊から解放されたと思ったら
今度は海軍に監視され、制御され。
あれじゃあ、あの子にとっちゃ
何にも変わっちょらんだろうに。"
捕われては遊ばれて、
保護されたと思えば利用されて。
記憶の片隅に焼き付いて離れなかった
そんな不幸な少女の話。
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