long story
□白い記憶
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「記憶喪失?」
「ええ、自分の名前も
思い出せないみたい。」
「頭打ったとかか?」
「それも原因の一つとして
考えられるけど、彼女の場合
頭部に目立った外傷は無いわ。」
「精神的なものって事だない?」
「ええ、おそらく。
情緒的外傷による記憶喪失。」
数日前に女を拾った。
辛うじで浮き輪に引っ掛かって
その女は漂流してた。
前の晩のシケを考えると
相当な強運の持ち主だろう。
その女が2日ぶりに
目を覚ましたらしいが、
まあ…冒頭に至るわけだ。
「話は出来るか?」
「それは問題ありませんわ。
こちらへ連れて来ましょうか?」
「アァ、おれの部屋へ頼む。」
「了解。」
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