long story


□指摘された事実
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…私は誰?
何があったの!?
ねぇ答えてよ…!!


――カチャ

「お待たせ、って
…ちょっと大丈夫!?」

「っ…。」

「落ち着いて?
無理に思い出そうとしちゃ駄目よ。」

「……っでも…!!」

「落ち着きなさい!!」

「!…すみません…。」

ローズさんの声に
ビクリと体を震わせる。

「驚かしちゃったわね。
ごめんなさい。」

私の目線に合わせて
ベッドに腰掛けると、
ローズさんは優しく微笑んだ。

「これから話す事、
しっかり聞いてね?」

「…はい。」

「まず…あなたの事。
症状から判断して
記憶喪失で間違いないと思うわ。」

「記憶…喪失…。」

「ええ。原因は色々考えられるけど、
何か大きなショックを
受けた可能性があるわ。
もちろん、今すぐその何かを
思い出せとは言わない。
これは努力したからって
思い出せるものではないの。
何の前触れもなく
突然、思い出したりするものよ。」

ローズさんの言葉を
一つ一つ、注意深く聞いて
私は頷いた。

「次にどうして此処にいるかだけど、
2日前あなたが海で漂流してたとこを
うちのクルーが見つけて引き上げたの。」

「あ、ありがとうございました。」

「いいのよ。自分の事が
分からないのは不安だと思うけど、
この船にいる間は私がついてるからね?」

「はい、…ありがとうございます。」

「じゃあ次。
今も言ったけど、ここは船よ。
…海賊船なの。」

「…!」

「大丈夫、とって食ったりしないわ。」

「…すみません。」

「ふふ、無理もないでしょう。
あなた白ひげって聞き覚えあるかしら?」

「…はい、…まさか…此処…!?」

「その通りよ。」

「此処は…白ひげ…?」

「そう、ちなみに私は船医。
戦ったりはしないけど、白ひげのクルーよ。」

「……凄い。」

「んふふ、さっそくだけど
うちの船長があなたと話したがってるわ。
これ着替え。
私の服だけど大丈夫よね?」

「あ…はい、ありがとうございます。」

「じゃ隣の部屋で待ってるわ。」



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