long story
□波の水音
1ページ/2ページ
ふ、と目が覚めた。
窓の外を見やるがまだ、暗い。
勝手に歩き回っては悪いと思ったのだが、
潮風にあたりたいと思い、部屋を出た。
あまり歩いて迷子になっては困る。
医務室を出て直ぐに
デッキの様な所を見つけて安心した。
欄に近づき体中で海の風を受けとめる。
海が白く波立っているのが見えた。
真っ黒で何も見えないと思ったのに…。
―パシャン――…!
突然、水の弾ける音が頭に響く。
「…っ。」
私は白い波から目が離せなかった。
引き付けられて、離れない。
「な…に?」
見たことある光景、聞いたことある音。
私これ…知ってる…?
.