long story
□曖昧な感覚
2ページ/2ページ
波も、雨も、シャワーに、コップのお水まで。
此処で意識を取り戻してからの間、
私は至るところで水という水に
不思議な感覚を覚えていた。
悪魔の実の能力者は海に嫌われる。
私が過敏に水に反応するのは能力者だから?
でも…懐かしい、そんな気がしていたのに。
浴槽のお湯を掬っては、
指の隙間を擦り抜けるように落ちていく
その物質を目で追った。
指先を伝う雫を眺める。
この感じ、前にもあった。
私の手を水が伝う、この感覚。
甦る記憶は曖昧で。
だけどそれは確かに私自身だった。
.