long story
□甘えた卑怯者
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あの雨の夜から数日、
思いだしかけた記憶は曖昧なまま。
島に着く気配が無いものだから
すっかり居候してしまっている。
それでもクルーの皆さんは
嫌な顔一つしなかった。
それどころか、私に話し掛けてくださったり
本当に優しい方ばかりで。
このまま、島が見えてこなければ
このまま、この時間が続いてくれたら
なんて思ってしまう。
わがままだって分かってるけれど、
そう望む私がいて。
だから最初に見えてきた島が
無人島だと分かった時は
思わず嬉しくなってしまった。
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