long story


□その赤は記憶の色
2ページ/2ページ




「火拳!!!」

―その瞬間だった。

視界に広がる、赤。

何度も何度も消したはずの色。

私の黒い世界で唯一の色だった
あの赤が今、目の前に存在して。

私の頭に響く言葉はいつも同じ。

"―シャロン ヒヲケセ――"

「―…っいやあぁあ…!!」

「「「シャロン!!!?」」」

「あ…あ………!」

私が取り戻した記憶には、赤い炎と黒い闇。

「シャロン!大丈夫、大丈夫だから…!!」

抱き締めてくださったローズさんの言葉は
私にとって気休めでしかなくて。

もう、ここには居られない。

海軍にいた理由も、
逃げ出した理由も、
そして…誰が私を追ってくるかも。

全て、分かってしまったから。

「ちょっとシャロン!?待って危ないわ!!」

燃え盛る炎の方へ。

ただ、あの赤色を消すために。




.

前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ