long story
□その赤は記憶の色
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「火拳!!!」
―その瞬間だった。
視界に広がる、赤。
何度も何度も消したはずの色。
私の黒い世界で唯一の色だった
あの赤が今、目の前に存在して。
私の頭に響く言葉はいつも同じ。
"―シャロン ヒヲケセ――"
「―…っいやあぁあ…!!」
「「「シャロン!!!?」」」
「あ…あ………!」
私が取り戻した記憶には、赤い炎と黒い闇。
「シャロン!大丈夫、大丈夫だから…!!」
抱き締めてくださったローズさんの言葉は
私にとって気休めでしかなくて。
もう、ここには居られない。
海軍にいた理由も、
逃げ出した理由も、
そして…誰が私を追ってくるかも。
全て、分かってしまったから。
「ちょっとシャロン!?待って危ないわ!!」
燃え盛る炎の方へ。
ただ、あの赤色を消すために。
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