long story


□吐き出された本音
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「………て……さい。」

「なんだ。」

「私をっ…!私を殺してぇっ!!!」

半ば叫ぶ様に訴えた。

あいつらの所から脱出したのも
衝動的なものだった。

計画性の欠片も無くて。

海楼石が嵌められたままの状態で
いったい何が出来ると思ったのだろう?

もはや自分が分からない。

狼狽え、取り乱す私に白ひげさんは言った。

「…今のお前は。
自分の命すら持て余してんじゃねぇか。」

「…っ!!」

その通りだった。

武器も何も無く、
命を断つ唯一の手段と言えば
舌を咬み切るくらいか。

でも、
臆病な私がそれをする事を拒む。

「何も出来ないと、そう感じるか?
この世界で己だけが無力だと。」

溢れだしてきた涙をこぼさないよう
精一杯堪えて白ひげさんを見上げる。

「甘えた事は考えるな…!!
死は…!逃げ道でしか無い!!」

「…っ!!…………わ…たし…はっ………
……私は!!
…道具なんかじゃ、ない…!!!!!」

今までずっと
私の中に押し込めてきたもの。

私一人が耐えてそれで全て上手くいく、と。

自分を犠牲にしていたの。

肩で呼吸する私の瞳からは
何かが外れてしまったかのように
涙がボロボロとこぼれ落ちて
止まらなかった。

涙でぐちゃぐちゃの視界からはもう
白ひげさんの表情までは
伺い知ることは叶わなかったけれど。

優しく、そして強い声が響いた気がした。

「シャロン、
今からお前はおれの娘だ!!!」



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