long story
□信じられる確かなもの
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彼の答えは、私が望んだそれで。
躊躇いなく彼は言う。
「当たり前ぇだ…!!
娘は道具じゃねぇ。存在意義なら
傍に居てほしい、
それだけで十分じゃねぇのか?」
傍に、居る。
それが…必要とされること。
必要な時だけ近くに居ることを許される、
そういう生活ばかりだったから。
その言葉は私を信じさせるのに十分だった。
この人を、白ひげを、信じてみよう。
もう一度だけ、これで最後。
この世界に別れを告げる前に、もう一度だけ
人を信じること、この人に賭けて。
手の甲で零れ落ちる涙を拭い
ゆっくりと目線を上に上げると、
白ひげさんのそれと交わる。
「…答えは出たのか?」
そう、たった今弾き出された私の答えは。
「私を、……娘にしてください!!」
一息すった後、一気に。
もう戻れない、その一歩を。
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