long story


□娘の特権
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「シャロン、気付いたと思うけど
うちのクルーはみんな、
船長のことオヤジって呼ぶのよ。」

そう教えてくれたのはローズさん。

彼女は私が仲間になったことを
とても喜んでくださった。

私の意識が戻ってから今日まで
本当に何から何までお世話になりっぱなし。

宴が続く中、白ひげさんの近くに腰を下ろし
これから此処に自分の居場所がある、という
感じたことの無い幸福に身を任せて。

ローズさんの言葉に、
家族なんだと改めて感じる。

「私も…そう呼んでも?」

勇気をだして聞いてみれば
返ってきたのは予想外の言葉。

「あら駄目よ、シャロンは女の子なんだから!
そうねぇ……パパ…なんてどう?」

そう白ひげさんに問い掛けるローズさん。

えぇ…!?

「グラララララ…!!!
パパか…、そんな柄じゃねぇよ。」

否定はするものの
至って楽しそうに笑う白ひげさん。

「なかなか良いじゃねぇかよい。」

「オヤジ!おれも賛成だ、娘なんだぜ?」

マルコさん、エースさんの表情が真剣で怖い。

「バカヤロウ、そりゃ無茶ってもんだ。
シャロン、パパは勘弁だが…
好きに呼んでくれりゃあ良い。」

「…え、と。」

私の記憶に残る父親は
父親であって、そうではなかったから
そう呼ぶ事は叶わなかったけど、
埋もれていた言葉を掘り起こして。

「……お、とうさん…。」

私の言葉に白ひげさん改め、
お父さんは満足そうに微笑んだ。



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