long story


□不安要素は
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「シャロン…?」

数分だったのか、数十分だったのか。

ふと腕が緩むと、私の顔を覗き込む様に
こちらを窺ったお父さんと目が合った。

彼は一言、酷ぇ顔だなって。

涙でぐしゃぐしゃになった私の顔は
確かに酷かったのだと思うけれど、
そう言う彼の表情はとても優しくて。

そんな何気ない事さえ私を救う。

だから――言うんだ、
言わなければ…勇気のあるうちに。

「シャロン、…?」

取り払われた恐怖がまたいつ
私の心を支配するか分からない。

私の中が安心だとか、安堵だとか、
不安を封じ込めてくれる気持ちで
いっぱいになっているうちに。

たとえどんな答えが待っていようと、
受けとめる覚悟が出来た。

彼の事を心から信じられた今、
私のすべき事はひとつだけ。



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